フロントエンドエンジニアでフリーランスに…。将来性や必要なスキルレベルは?
「フリーランスのエンジニアって、案件は取れる?」「独立に必要なスキルは?」
独立をめざすフロントエンドエンジニアは、フリーランスの仕事事情や必要なスキルレベルが気になっているのではないでしょうか。
事実、進行するエンジニア不足でフリーランスエンジニアの活躍の場が広がり、正社員よりも稼ぐフリーランスが増えました。とはいえ誰でも稼げるわけではなく、高収入を得るためには他者と差別化できるスキルが必要です。
そこで今回の記事では、フリーランスのフロントエンドエンジニアの収入相場や、独立に必要なスキルレベルについて解説します。
フリーランスのフロントエンドエンジニアを取り巻く環境
はじめにフリーランスのフロントエンドエンジニアを取り巻く環境と動向を解説します。
社会のオンラインシフトでWeb需要は拡大している
クラウドや生成AIの急速な技術革新や、アフターコロナの社会全体のオンラインシフトなどを背景に、Webの需要が大幅に拡大しています。
- コロナ禍をきっかけとするオンライン取引の増加
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
- ECサイトやオウンドメディアの需要拡大
- セキュリティやWebアクセシビリティの基準・法令への対応
新型コロナウイルスをきっかけに、ECサイトなどオンラインの消費が活発化したため、対面での販売をWebに切り替える企業が増えました。その結果、Webサイトの新規作成やリニューアル、機能拡張などの需要が拡大しています。
近年のWeb人材の動向を見ると、2021年度「インターネット付随サービス業」の常時従業者数は8万5,741人、前年度比20.9%増と急増しました。一方で2022年度の企業のDX推進人材は「大幅に不足している」との回答が49.6%と、人材供給が追い付いていない状況が伺えます。
参照:総務省情報流通行政局 経済産業省大臣官房調査統計グループ「情報通信業基本調査結果 2021年情報通信業基本調査(2020年度実績)」
参照:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2023 表紙~第1部 総論」
スキル2極化で案件が決まらないフリーランスもいる
近年は、企業がハイスキル人材を確保するために、フリーランスを活用する傾向が強まっているのも、独立をめざすエンジニアには追い風といえるでしょう。
ジョブ型雇用が話題になるなかで、「社内でエンジニアを育成するより、スキルを持つ外部のエンジニアへ委託するほうが効率的」と考える企業が増えています。そのため、今後は高いスキルを持つフロントエンドエンジニアは引く手あまたになりそうです。
一方で、AIツールや自動化(ノーコード)ツールの台頭により、HTML/CSSのコーディングやマークアップを手動で行う必要性がなくなりつつあります。今後はDX化された簡易業務が激減する可能性が高く、ルーティンワーク中心でWeb制作を請け負うディレクターやエンジニアは、オーダーが減ってくるでしょう。
今後、徐々に市場価値が下がると思われる業務は以下となります。
- 簡単なデザイン制作
- ノーコードでのWebサイト構築
- CMSを更新するだけの作業
- Webサイトのチェック・テスト
2030年には、「受託開発や保守運用に関わる従来型IT人材は余る」ともいわれています。実は現在でも案件が決まらず、自分の強みを活かせる仕事の獲得に苦労しているフリーのエンジニアは少なくありません。あるフリーランスエージェントでは、案件の決まらないフリーランスを以下のように分析しています。
- スキル不足、またはスキルを証明できていない
- 希望する条件が高すぎる
- 特徴がなく差別化できていない
フリーランスとしてやっていけるフロントエンドエンジニアになるためには、一定のスキルレベルと差別化できる強みを持ち、実力を的確にアピールできる必要があるでしょう。
フリーランスフロントエンドエンジニアの収入相場
フリーランスのフロントエンドエンジニアの収入には幅があり、年収ベースでおおむね700万円~1,200万円です。正社員のフロントエンドエンジニアの平均年収が約600万円と考えると、フリーランスの方が稼げるといえるでしょう。
報酬相場(単価)で見ると、あるフリーランスエージェントの平均報酬は約80万円。中には、100万円を超える案件もありました。
熟練したフリーランスエンジニアになると「週3日」などの短時間案件を、複数同時進行するケースもあるといいます。スキルと裁量次第では、高収入と働き方のコントロールの両方を叶えられそうです。
フリーランスになるために必要な7つのスキル
フリーランスとしてやっていけるフロントエンドエンジニアのスキルレベルをめざすために、習得すべきスキルは以下の7つです。
- UI/UX設計・デザインスキル
- CMS構築スキル
- バックエンド領域のスキル
- ブラウザに関する知識
- JavaScriptフレームワークと管理ツールのスキル
- 開発環境最適化ツールのスキル
- コミュニケーションスキル
1.UI/UX設計・デザインスキル
UI/UXはシステムやアプリの使いやすさ・見やすさを決めるデザイン領域の手法です。
フロントエンドエンジニアがデザインやUI/UXを理解することで、ユーザーファーストのスムーズな開発が可能になり、成果物のクオリティを高められます。
習得がおすすめなデザインツールにFigmaがありますが、可能であればPhotoshopやIllustratorなども押さえると、より多角的な視点でサイトやアプリの制作・開発に携われるでしょう。
2.CMS構築スキル
Webコンテンツの更新・管理を効率よく行えるCMSは、企業のカスタマイズニーズが高まっています。
CMSではHTML/CSSの知識がなくてもWebサイトを更新できるため、WordPressを始めとするCMSでサイトを構築し、自社運用する企業が増えているのです。フロントエンドエンジニアにはCMSで構築されたWebサイトに、高度なカスタマイズを行う技術が求められています。
クライアントの要望に沿うサイトを実現できれば、フリーランスとして対応できる案件の幅が広がるでしょう。
3.バックエンド領域のスキル
フリーランスをめざすなら、バックエンド・サーバーサイド領域のスキルも習得しておきましょう。 バックエンドはサーバー側の動作を実装・開発する領域で、具体的にはサーバー構築、サーバーサイドのプログラム開発、データベース処理などがあります。
近年はWebサイトやアプリが高度化しているため、複雑なデータベース連携やAI実装などが求められます。主なバックエンド言語はRuby、Python、Java、PHPや、RustやGo言語などです。特にPHPはフロントエンドとバックエンド両方に関わる言語のため、習得すれば開発がスムーズになります。
SSR(Server Side Rendering)は、ユーザーの表示時間を短縮させるスキルで、注目度が高まっています。ユーザーの訪問時の表示が高速化されるため、動的なコンテンツの多いウェブサイトやアプリケーションで多く活用されており、SEOにも効果を発揮します。
サーバー・クライアント間の連携を円滑化しSEOに貢献できるフロントエンドエンジニアは、顧客やディレクターにとっても手放したくない人材になるはずです。
4.ブラウザに関する知識
フリーランスをめざすなら、ブラウザの動作や仕組み、役割についても踏み込んだ理解が求められます。
フロントエンドで得たデータをバックエンドで処理して返し、可読的に変換する一連の仕組みはブラウザの基本知識です。そのうえでブラウザごと(IE・FireFox・Google Chromeなど)のJavaScript処理方法を把握しておく必要があります。
レンダリングエンジンの種類やDOMの仕組みと構造、JavaScriptエンジンの処理についてはしっかり押さえておきましょう。
5.JavaScriptフレームワークと管理ツールのスキル
開発を円滑に進めるためには、JavaScriptフレームワークと、フレームワークを実行するツールも習得する必要があります。
フレームワークの進化にともない、効率化する実行環境やツールが登場しているため、常に知識とスキルのアップデートが必要です。
近年はTypeScript(バグが少なく大規模開発向き)とその実行環境Node.jsがトレンドになっています。より高いユーザー体験を構築できるSPA(Single Page Application)のフレームワークである、React、Angular、Vue.jsも押さえておきたいところです。
現在主流のパッケージ管理ツール「npm(Node Package Manager)」や「yarn」も、複雑化したJavaScriptフレームワークをスムーズに実行するために、習得しておきましょう。
6.開発環境最適化ツールのスキル
フリーランスをめざすなら、開発環境を最適化するツールも習得しておきましょう。最近のトレンドとして、トランスパイルやバンドルにより開発の効率を大幅に向上させる「Webpack」や「Babel」などが注目されています。
「webpack」は、複数のJavaScriptファイルを1つのファイルにまとめて出力するモジュールバンドラーツールです。ブラウザからのリクエスト数を減らし、ファイル転送を最適化します。
「Babe」は、最新のJavaScriptの機能を古いブラウザでも動作するようにトランスパイルするツールです。ブラウザが対応する構文や機能が古くても、開発者はES2015以降の新しい構文や機能のコードを書けます。
フレームワークや管理ツールと同様、開発を効率化できるスキルは、フリーランスとしての差別化につながるでしょう。
7.コミュニケーションスキル
フリーランスには、コミュニケーションスキルなどのヒューマンスキルが必要で、独立するなら営業力や企画力、提案力は必須です。
フリーランスにとっては開発・制作のスタッフ間連携だけでなく、案件獲得や人脈構築のためにもコミュニケーションが重要になります。
ただしコミュニケーションスキル=自己アピール力ではなく、相手を理解しようとする姿勢のほうが重要です。例えば優れた営業パーソンは、自分が話すよりも相手の話を「傾聴」するほうにウエイトを置くため、相手からの信頼を得られ、リピートや紹介に結びつけています。
常に相手の立場を考えるスキルを高めていけば、将来ディレクションやマネジメントに移行する際の武器にもなるでしょう。
差別化スキルで稼げるフリーランスフロントエンドエンジニアを目指そう
フリーランスで稼げるフロントエンドエンジニアをめざすなら、開発実績を積んだうえで新しいスキルの習得が必要です。
Webの技術は日々進化しているため、常に知識とスキルのアップデートが求められます。また、今後上流工程をめざすなら、より広い領域にまたがる知見やヒューマンスキルの習得も欠かせません。
スキルアップのためには、成長できる仕事環境に身を置くこともひとつの方法です。「リバミー」では、将来は独立したい、フリーランスで稼げるようになりたいというフロントエンドエンジニアを採用し、大規模サイトのリニューアルや新規事業のためのサイト構築などのプロジェクトにアサインしています。
大規模サイトに携わった経験が少ない人、部分的なプログラム開発などの仕事が多かった人は、いきなりフリーランスをめざすより、経験値を高められるポジションでスキルアップを図ってから、計画的に独立を検討するほうがベターでしょう。
稼げるフリーランスになりたい人、今までとは違う形でサイト構築に携わりたい人は、ぜひリバミーにお声がけください。