若手Webエンジニアが「転職するか・しないか」を決めるチェックポイント
将来仕事やキャリアに危機感を抱き「転職したい」「仕事を辞めたい」と考えるWebエンジニアの悩みとして、よく聞かれるのは「労働環境」「技術進化」「行き詰まり感」です。これまでのキャリアをアピールしにくい若手のWebエンジニアは、実際に転職を検討するとなると、希望通りの仕事やキャリアが実現できるのかが気になるところです。
今回は若手Webエンジニアが転職を迷った場合の考え方や、将来のキャリアのために転職しない場合・する場合に押さえておくべきポイントを解説します。
若手Webエンジニアが転職を考える危機感の正体
はじめに若手Webエンジニアが将来のキャリアに抱く危機感について解説します。
仕事量に対する待遇が悪いこと
転職を考える若手Webエンジニアの中には、待遇に不満がある方も少なくないようです。とりわけ下請け企業のWebエンジニアは給与が低くなりがちで、上流工程を任されるチャンスもなかなか得られないのが現状です。
IT業界では数年前に、転職すると給与が上がる「年収バグ」と呼ばれる現象も起こっていました。そのため、同年代のWebエンジニアが次々と転職し年収アップを果たすのを見て、焦りを感じていた方もいるでしょう。
「35歳定年説」に対するキャリアの不安
IT業界で長年ささやかれている「35歳定年説」も、若手Webエンジニアがキャリアに不安を抱く要因です。
35歳定年説が語られ続けたのは、体力の限界、スキルアップの難しさ、マネジメント職としてキャリアアップするかどうかのターニングポイントといった要素があったからです。一時期よりは改善されましたが、Webエンジニアの仕事は長時間労働になりがちです。納期間際に徹夜が続くと、体力的な不安を感じる方もいるでしょう。
実際には35歳を超えてもキャリアを積み、活躍を続けるWebエンジニアは少なくありません。それでも30代になると、将来のキャリアに悩む方が多いことも事実です。
急速な技術進化へのキャッチアップの難しさ
技術の進化のスピードが上がり、キャッチアップするのが難しくなっているのも、Webエンジニアが転職を考えるきっかけのひとつです。
ルーティンワークが多く、新しい仕事にチャレンジできない環境にいる方は、スキルを習得できず悩むケースが多いようです。また、職場の教育環境が整備されていない場合も新しいスキルを得られないことから、成長を求めて転職するきっかけとなっています。
毎日のタスクが忙しく新しいスキルを学ぶ余裕がないことは、Webエンジニアにとっての大きな不安要素です。
Webエンジニア転職事情の現状
厚生労働省の離職率調査によると、令和4年の情報通信業全体の離職率は11.9%との統計が出ています。
以下は若手のWebエンジニアが転職を決意した理由です。
・ワークライフバランスが悪すぎる
・年収が成果に見合っていない
・やりたい仕事をやらせてもらえない
・もっと専門性を高めたい
・若いうちに経験を積みたい
・キャリアチェンジするなら早いほうがいい
近年は、技術進化の速いWeb業界で長く活躍するために、同じ会社で長く勤めて昇進するよりも転職して専門性を高めたいと考える方が増えているようです。
採用する企業側も、20代の若手なら未経験であっても積極的に採用・育成するスタンスを取っています。そのため、少しでも若いうちに待遇アップやキャリアチェンジを図りたい方にとっては、転職市場が有利に働いているといえます。
ただし、昨今は未経験採用が増え、経験者・即戦力としての評価基準が厳しくなっていることは留意する必要があります。転職時には何らかのアピールポイントが必要です。
参照:厚生労働省「2 産業別の入職と離職 令和4年1年間の労働移動者を主要な産業別にみると」
Webエンジニアからキャリアチェンジできる職種の例
Webエンジニアの仕事を辞める場合、ほとんどの方はエンジニアの知見を活かして就職することになるでしょう。以下はエンジニア経験を活かせる職種の一例です。
ITコンサルタント
社内SE・ヘルプデスク
インフラエンジニア
教育コンテンツの開発・運用(ED-Tech)
IT関連職種(ヘルプデスク、社内SEなど)であれば、スキルを活かして活躍でき年収を維持しやすいものの、競争率は高くなります。それでもスキル次第で、30代前半までなら好条件で採用される可能性があります。
ちなみにセールスエンジニアやWebサービスの営業職であれば、30代以上の求人も豊富です。IT企業の営業職なら、Webエンジニアの経験を活かして活躍できるでしょう。
Webエンジニアが「転職する・しない」を決めるジャッジポイント
Webエンジニアの仕事を辞めて転職すべきかどうかの判断がつかず、決め手を探している方も多いでしょう。ここでは仕事を辞めるかどうかをジャッジするポイントを解説します。
現職を辞めるメリットとデメリットの両方から検討する
まずは転職のメリットとデメリットを洗い出し、整理してみましょう。そのうえで、「現職で解決できない不満なのか」を考えることをおすすめします。
職場環境や働き方が問題なのであれば、一度会社に配置転換などを交渉してみる余地があります。ただしまったく聞き入れてもらえない場合や、技術を磨けない仕事(運用系の社内SEやヘルプデスクなど)しか任されない場合は、成長する機会を得るために転職したほうがいいでしょう。
もう一度自分の適性を見極める
会社や職場、仕事に問題があるわけではなく、自分がエンジニアに向いていないと感じた場合は、何が問題なのかチェックしてみましょう。
例えば「コーディングが楽しくない」「課題解決に前向きになれない」という場合は、現場で働き続けるのは難しそうです。
一方「学習意欲が不足している」なら、目標が曖昧でモチベーションを保てない場合もあるので、改善ポイントを検討する余地があります。「論理的思考が得意ではない」という方も、研修などによって能力を高めることができます。
自分の適性について考えてみたい方は、エンジニアの転職サイトなどになる適性診断を実施し、得意・苦手や向き・不向きをチェックしてみることもおすすめです。
転職しないWebエンジニアが押さえておくべきポイント
転職すべきか迷った結果、今の会社で続けようと決めた方が押さえておくべきポイントを解説します。
地味なタスクは将来へのステップといったん割り切る
Webエンジニアの仕事は一般のイメージに反し、地味なタスクの連続ですが、続けていこうと決めたからには将来のためのステップといったん割り切りましょう。
クリエイティブな世界に憧れて入ってきたのに、実際にはシステム保守やマニュアルに沿ったコーディング、ドキュメント作成など、地味な単純作業の連続で失望した方もいるかもしれません。しかしキャリアの最初のステップにおいては、こうした地道な作業は基礎力を身に付けるチャンスでもあります。
とはいえ、いつになってもやりたい仕事を手に入れられなければモチベーションが続きません。会社や組織の状況を把握したうえで、見極める必要があります。
キャリアプランを明確にする
Webエンジニアとして数年のキャリアを積んだ方は、キャリアプランを明確にしておきましょう。
社員のキャリアプランを尊重してくれる会社であれば、キャリアプランを明示したうえで、必要なスキルを身に付けられるプロジェクトにアサインしてもらえるよう働きかけてみましょう
個々の希望が通りにくい会社で働いている人は、社内外の研修やeラーニングなどを活用して資格や技術を取得しておくという手もあります。希望のプロジェクトに加われなくても、転職する際のアピールポイントになります。
常に転職を意識する
今すぐ転職しないとしても、将来のキャリアアップの可能性を広げるために、転職を意識しながら仕事をすることをおすすめします。常に転職活動をするつもりで、自分のスキルレベルや市場価値を把握しておけば、現状の勤務先におけるキャリアプランも明確にしていけるでしょう。
自分のスキルを洗い出し、可視化するためにはSNS発信やブログ執筆などのアウトプットもおすすめです。こうしたアウトプットはプレゼンテーション能力の向上や仕事のネットワーク構築にも役立ちます。
転職を決意したWebエンジニアが押さえておくべきポイント
続いて、転職すると決めたWebエンジニアが押さえておくべきポイントを解説します。
自分のスキルと経験を棚卸しする
今の職場を離れると決めたら、自分のスキルと経験を棚卸しし、可視化しましょう。
転職の面接では、担当したプロジェクトやマネジメント経験などを問われます。経験してきた業務とミッション、扱える言語やプラットフォームなどについて的確に答えられるよう、日頃から準備しておくといいでしょう。転職活動を始めると決めたら、ポートフォリオも充実させておきましょう。
転職の軸を明確にする
転職活動を始める前に、どんな会社・職種をめざすのか、今後どのようなキャリアを積み、どのような成果を出していきたいのか、転職の軸を明確にしておきましょう。
転職時の面接では自分の経歴説明や自己紹介に対し、面接官はかなり掘り下げた質問をしてきます。そのため、例えば転職動機が「キャリアアップしたい」である場合、「前職ではなぜキャリアアップできないのか」まで明確にしておくことが必要です。
特に短期の転職の場合、ジョブホッパーとみなされ悪い印象を抱かれないよう、自分の成長意欲を確実に伝える必要があります。そのためにも、キャリアの軸は明確に説明できるようにしておきましょう。
未経験転職なら一時的な年収ダウンも覚悟する
未経験の職種へ転職する場合は、年収ダウンも覚悟する必要があります。これまでのキャリアが評価されにくい若手エンジニアは、「入社した後、実績を積んで年収をアップさせる」と考えて将来性のある環境を選ぶという道もあります。
社内SE、運用系、特殊なサービスの開発など、実績を評価されづらい仕事に携わっていたエンジニアは、年収が下がるケースもあるでしょう。それでもキャリアプランと必要なスキルが明確であれば、開発経験を積んだりスキルアップしたりすることで、将来的な年収アップが期待できます。
転職活動が不安な場合はカジュアル面談を受けてみる
仕事で多忙な毎日を送る中、転職活動に一歩踏み出す勇気が持てない方もいるでしょう。在職中に転職活動をするのが不安な場合は、最近増えているカジュアル面談を受けてみることをおすすめします。
カジュアル面談は転職活動の場数を踏めるだけでなく、さまざまな企業の文化にも触れられます。新しいカルチャーや考え方を知ることで、日々の仕事にも活かせるかもしれません。
また、第三者の視点で評価を受けることで、自分の仕事観を考え直すきっかけにもなります。仕事に対する考え方を見直しながら、徐々に転職活動の精度を高めていきましょう。
転職を視野に入れて明確なキャリアプランを築こう
Webエンジニアとしての将来に危機感を覚え、転職するかしないかで迷う場合は、キャリアの軸とキャリアプランを明確にすることで方向性が定まります。
実際に転職する・しないにかかわらず、経歴とスキルの棚卸しを行い、強み・弱みを可視化しておけば、将来の転職や社内異動時のアピールにもなります。
自分のキャリアプランに合った仕事をしたい方は、Web関連の多様なプロジェクトに参画できるリバミーにご相談ください。リバミーでは、WebディレクターやWebエンジニアが活躍できるプロジェクトを多数請け負っており、一人ひとりがめざすキャリアを把握したうえで、適切なポジションにアサインしています。
入社後も、キャリア相談を受けられるようになっており、将来必要になるスキルの習得もサポートしています。長く活躍できる技術を身に付けたい方、大規模プロジェクトの経験値を高めてリーダーやマネージャーをめざしたい方は、ぜひリバミーにお声がけください。