フルスタックエンジニアのニーズが高まる理由と将来性・活躍の場・必要スキル
「フルスタックエンジニア」は、あらゆる工程をマルチに担える開発のスペシャリスト近年転職市場で注目を集めている職種の1つです。
フロントエンド・バックエンドエンジニアとしてキャリアアップを考える中で、フルスタックエンジニアの将来性や必要なスキルが気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、フルスタックエンジニアのニーズが高まっている理由と将来性、活躍できる職場、フルスタックエンジニアになるために身に付けるべきスキルを紹介します。
今、注目のフルスタックエンジニアとは?
フルスタックエンジニアとは、フロントエンド・バックエンドの両方の領域に対応できるハイスキルエンジニアのことです。
デザインやUI、SEOなどのフロントエンド領域からバックエンドまで、1人でカバーするマルチな存在として、フルスタックエンジニアのニーズは年々高まっています。システム全体の最適化から効率的な運用まで、開発を包括的に把握できる人材は、開発効率を高めたい企業にとっては今や不可欠の存在です。
フルスタックエンジニアのニーズが高まる理由
近年、フルスタックエンジニアのニーズが高まっている理由として、以下の4つがあります。
- 開発スピードの高速化
- エンジニアの役割の変容
- 企業の人件費削減ニーズ
- 高度化した開発への対応ニーズ
開発スピードの高速化
近年は短い周期で開発とリリースを繰り返すアジャイル開発が主流になり、開発にスピードが求められるようになりました。
開発を複数領域の専門エンジニアで分業するよりも、1人が一貫して担当するほうが迅速な開発が可能なため、開発の全行程を担えるマルチなエンジニアのニーズが高まっているのです。
全行程をフルスタックエンジニアに任せれば、それぞれの工程の進捗確認をする必要もなく、人員配置の手間やコミュニケーションコストも省けます。
エンジニアの役割の変容
開発手法の変遷にともない、エンジニアの役割も変わってきました。従来の開発手法では仕様書どおりに完璧なアプリを開発していましたが、近年は開発後の改良・拡張を前提とした手法へと変化しています。また、開発のクラウド化やノーコードツールの進化により、エンジニアの不要な工程も生じました。
そのため多くのプロジェクトで、各工程の実装にとどまらず開発・運用・改善までを、一貫して把握できるフルスタックエンジニアが求められるようになったのです。
企業の人件費削減ニーズ
マルチスキルのフルスタックエンジニアなら、企業の人件費削減ニーズにも応えられます。企業にとっては専門分野ごとにエンジニアを雇用するよりも、複数工程を1人で担当するエンジニアを雇用するほうが人件費を抑えられます。
近年はIT人材不足により人件費も高騰しているため、1人何役のハイスキルなフルスタックエンジニアを採用したいと考える企業が増えているのです。
高度化した開発への対応ニーズ
テクノロジーの進化にともない開発技術が年々複雑化しています。
多様な領域のスキルを持つフルスタックエンジニアであれば、高度化したアーキテクチャにも対応が可能です。複数の技術を採用したシステムの開発とトラブルシューティングに対応できるフルスタックエンジニアは、ますます重宝されるようになりました。
また、オフショア開発に回せないような難易度の高い案件を安心して一任できることも、企業がフルスタックエンジニアを採用したい理由です。
フルスタックエンジニアの活躍の場
フルスタックエンジニアは主に以下の企業や業態で活躍しています。
- ベンチャー・スタートアップ企業
- IT化・DXを推進したい中小企業
- Web系企業
- フリーランス・独立起業
ベンチャー・スタートアップ企業
限られた人数でスピーディーな開発を行うことの多いベンチャー・スタートアップ企業では、マルチに対応できるフルスタックエンジニアへのニーズが高まっています。
ベンチャーやスタートアップ企業のWebエンジニアは、事業の立ち上げから開発に携わり、会社の成長に合わせて自分の仕事の幅が広がるケースが多いです。大手企業ではなかなか就けないマネージャー職にも、比較的早期に就任できる傾向にあります。
IT化・DXを推進したい中小企業
IT化やDXを推進したい中小企業も、フルスタックエンジニアを必要としています。
大企業のように専門領域ごとのエンジニアを配置するのが難しい中小企業にとっては、全領域を1人で担当できるフルスタックエンジニアは貴重な存在です。
企業の基幹システムから顧客対応、サービスサイトの開発・保守まで、広範な業務でフルスタックエンジニアが力を発揮できるのは、中小企業で働くメリットといえます。
Web系企業
アジャイル開発が主流のWeb系企業では、制作から開発までの広範な領域に対応できるエンジニアが求められます。
インターフェイスとサーバーサイドを一貫して担える人材がいると、開発のスピード化が可能です。幅広い知見とスキルを持つフルスタックエンジニアなら、刻々と変化する要件にも柔軟に対応しながらスピーディーに開発できるため、Web系企業では特に重宝されます。
フリーランス・独立起業
フリーランスで企業からの発注を受けているエンジニアや、独立・起業して活躍しているエンジニアもいます。
設計、開発、運用を一貫して担えるスキルは、フリーランスとしての武器になります。フルスタックエンジニアならプロジェクトの幅広い領域を担当できるほか、リソースの不足する工程にも柔軟に対応できるため、クライアントから頼りにされるでしょう。
マネジメントスキルを備えている人なら独立起業する方法もあります。フルスタックエンジニアなら幅広い知見を活かし、要件定義から保守・運用までのテクニカルなアドバイスが可能なため、クライアントの要望を満たす開発を実現できる可能性が高まります。
活躍できるフルスタックエンジニアになるためのポイント
さまざまな領域で活躍できるフルスタックエンジニアになるために、押さえておきたいポイントを解説します。
- 得意分野の専門性を高める
- 業界と市場のニーズをキャッチアップする
得意分野の専門性を高める
フルスタックエンジニアには幅広い知見が必要とはいえ、広く浅く習得しているだけではどの分野も中途半端になり、強みのない人材になってしまいます。「器用貧乏」と言われないためにも、特定の領域を得意分野としてアピールできるようにしておくことが大切です。
例えばフロントエンドに強みがある人なら、UI/UXの設計・実装スキルを併せ持つのもひとつの方法です。
専門分野を確立したら、次に周辺領域から徐々にスキルを広げていくと、効率よくスキルアップできます。単に「人気があるから」「求人が多い」といった理由でいきなり未経験の領域に着手しても、習得が難しく実践力につながりにくいので、挫折しやすいでしょう。
その点専門に近い領域から習得すれば、じっくり知見を深められます。
業界と市場のニーズをキャッチアップする
活躍し続けるフルスタックエンジニアになるためには、業界のトレンドや市場のニーズをキャッチアップしていくことも欠かせません。
せっかくフルスタックエンジニアとして仕事を得られても、学習を止めてしまえば業界の変化についていけなくなるでしょう。
例えば、近年注目されているAI、クラウド、ビッグデータなどに対する理解は、多くの開発現場で求められます。さらに開発手法をブラッシュアップするために、新しいフレームワークやツールについても押さえる必要があります。
技術面のキャッチアップだけでなく、市場ニーズを汲み取って、課題解決に必要な技術を自ら考えられる力も磨いておきましょう。
フルスタックエンジニアになるためのプラスアルファスキル
市場価値が高いフルスタックエンジニアをめざすために、身に付けておきたいプラスアルファのスキルを紹介します。
- インフラの知見とスキル
- クラウド上での構築スキル
- OS・ミドルウェアの知見とスキル
- 開発スキル
- マネジメントスキル
インフラの知見とスキル
フルスタックエンジニアには、サーバーやデータベース、それらを繋ぐネットワークなどのシステム基盤、さらにネットワーク上のセキュリティに関する知見とスキルが求められます。
インフラの知見が豊富なフルスタックエンジニアは、運用開始後のパフォーマンス改善やトラブルシューティングにも力を発揮するでしょう。
クラウド上での構築スキル
近年は開発の速さやコストの安さから、クラウドサービスを導入する企業が増えています。フルスタックエンジニアにも、システム要件に合うクラウドサービスの選定スキルが問われるようになりました。
適切なクラウドサービスを選択すれば、開発の効率化・スピード化につなげることが可能です。そのため、開発するシステムによってAWSとAzureなどを使い分ける知見と、クラウド上での構築スキルを持つエンジニアが重宝されます。
OS・ミドルウェアの知見とスキル
インフラ業務に付随して、フルスタックエンジニアには環境構築のためにOSやミドルウェアの理解も必要となります。
OSごとの特性を踏まえていなければ、WindowsやmacOS、Linux、Android、iOSいずれのOSでも適正に動作するシステムの開発はできません。
またプロジェクトの要件によって対処すべき脅威が異なるため、セキュリティやシステムの安定性を担保するミドルウェアの知識も求められます。
開発スキル
フロントエンドエンジニアであればバックエンド側、バックエンドエンジニアであればフロントエンド側の開発スキルを習得することも大切です。
フロントエンド側では、JavaScriptの以下の高度なプログラミングができる人材が重宝されます。
- 非同期処理
- DOM操作
- イベント処理
また開発を効率化するReact.jsやVue.js、jQueryなどのフレームワークの習得も欠かせません。バックエンド側であれば、PHPやRuby、Python、GO言語、Javaなどを使った開発スキルが求められます。
さらに可能であれば、デザイン領域のUI/UXの基本やトレンドも把握しておくと、よりスムーズな開発が可能になるため、市場価値がいっそう高まるでしょう。
マネジメントスキル
広範な領域を担当するフルスタックエンジニアには、プロジェクト全体を見渡す能力も求められます。
複数工程を適切にマネジメントするには、プロジェクト内での意思疎通を円滑にする必要があります。そのためには高いコミュニケーション能力、傾聴力などのソフトスキルが不可欠です。
フルスタックエンジニアとしてプロジェクトの要となれるよう、チャンスがあれば上流工程にも積極的に携わり、全行程をマネジメントするスキルを身に付けましょう。
フルスタックエンジニアを目指し活躍の場を広げよう
プロジェクト内でマルチな能力を発揮するフルスタックエンジニアは、開発スピードの向上や人件費削減などに貢献できるため、企業のニーズは年々高まっています。
フルスタックエンジニアを目指すなら、開発スキルや上流工程のマネジメントスキル、インフラスキルを習得しましょう。また業界のトレンドにもキャッチアップし、市場のニーズを汲み取る能力も求められます。
活躍できるフルスタックエンジニアになるために、まず得意分野を確立してから周辺領域の知見とスキルを磨き、徐々に対応領域を広げていきましょう。フロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニアとして経験の幅を広げたい人は、大規模サイトのプロジェクトを多数請け負っているリバミーで働くという選択肢もあります。
フロントエンドからバックエンド、バックエンドからフロントエンドに領域を広げる際に、技術や知識を学習することはできても、プロジェクトのなかで実務を経験するとなると、自らのレベルに合った仕事を探すのは難しいでしょう。
リバミーでもフルスタックエンジニアを随時募集しております。
リバミーでは、これまでの経験とめざすキャリアに応じて、適切な経験を積めるプロジェクトを紹介いたします。転職するという意志が固まっていない方でも、ご相談いただければ、今後必要となる技術・知識や活躍できる可能性がある仕事についてアドバイスいたします。興味がある方は、気軽にご連絡ください。