バックエンドエンジニア出身のWebディレクターは価値が高い!?
Webのバックエンド開発に携わりながら「今の仕事に将来性はあるのか?」と、今後のキャリアを模索しているバックエンドエンジニアも多いのではないでしょうか。
実はWebサイトの高度化・複雑化にともない、近年バックエンドの知識とスキルを持つ「開発ができるWebディレクター」が、注目を集めています。今後も、実務経験豊富なバックエンドエンジニアが、ディレクターの転職市場でも評価を高めていきそうな雲行きです。
今回は、バックエンドエンジニア出身のWebディレクターの価値が高いといわれる理由を、バックエンドエンジニアの保有スキルやWeb開発のトレンドから探っていきます。
Webディレクターを取り巻くWeb開発のトレンド
近年はスマートフォンの浸透により、幅広い世代でデジタルがより身近になっています。誰もがWebサイトやアプリを多用し、社会のIT知識レベルとリテラシーが高まった結果、より便利で使い勝手の良いサイト・アプリの開発への要求が加速しました。
社会のニーズに後押しされ、Webサイトを構成する技術も進化しています。最近ではAIチャットボットやVR/ARを実装したサイトも珍しくなくなり、必然的にWebディレクターに求められる知見の範囲が広がりました。
MA(マーケティングオートメーション)などのソフトが開発されたことも、Webディレクターにシステムに関する知見が求められる理由のひとつです。効果的で効率的なマーケティング施策を打つために、WebサイトへのMA実装が進み、Webディレクターがテクニカルな対応を求められるケースが増えています。
こうした背景を考慮すると、Webサイトの構造を把握しているバックエンドエンジニアが、Webディレクターをめざす意義は大いにあるといえます。
バックエンドエンジニア出身のWebディレクターの価値が高いといわれる理由
バックエンドエンジニアがWebディレクターに転身すれば、サイトを訪れるユーザーとクライアントの双方にとって満足度の高いWebサイト構築をスピーディーに行うことが可能です。
ここでは、バックエンドエンジニア出身のWebディレクターが「価値が高い」といわれる理由を解説します。
幅広い領域の知見とスキルがある
バックエンドエンジニア出身のWebディレクターは、ほかの制作者よりも幅広い領域で知見とスキルを持っています。
・バックエンド開発のプログラミング言語スキル
・フレームワーク・データベースの管理スキル
・要件定義スキル・サーバー構築スキル
・データベース構築スキル
・フロントエンドの基礎
・CMS構築スキル
開発時にはサービスの目的に合わせて、ハードウェアを選択する必要があり、データベース構築にはデータベースソフトを使いこなさなければなりません。その点システム全般の技術を把握するバックエンド出身ディレクターなら、他のスタッフと連携しながらスムーズに対応できます。
バックエンド領域のスキルは、フロントエンドよりも習得が困難なことからも、バックエンドエンジニア出身のWebディレクターの希少性は高いといえます。
技術提案ができる
幅広いプログラミングスキルや開発能力と、クラウドサービスのスキルをベースに、クライアントに最適な技術提案ができることも、バックエンド出身の強みです。
一般的にクライアントの経営サイドには「自社のサイト・サービスにはどの技術が最適か?」がわかりません。クライアントの事業にマッチした開発手法や機能、クラウドサービスを選んで提案できるWebディレクターは、それだけで市場価値が高まります。
開発チームの構築までできるWebディレクターならば、社内外での人望がより高まるでしょう。
バックエンドエンジニアがWebディレクターをめざすメリット
経験を積んだバックエンドエンジニアは、市場価値の高いWebディレクターになれる可能性が高いことはおわかりいただけたでしょう。ここからは、バックエンドエンジニアがWebディレクターになるメリットを解説します。
ノーコードツールやAIに代替されない
バックエンドエンジニアがWebディレクター業務をマスターすれば、保有スキルがツールに代替される心配をせずに済みます。
STUDIOやWebflowなどのノーコードツールやBaasの登場、AIサービスの進化によるバックエンド領域の簡易化・自動化の脅威を実感している人も多いのではないでしょうか。かつてFirebaseが登場した際には「バックエンドは不要」とまでいわれました。事実、ツールを使って開発できる人材が増えており、バックエンドエンジニアの需要が減るとという懸念の声が聞こえてきています。
しかし実際には、バックエンドエンジニアがまったく不要になることはありません。ただし仕様書に沿ってコーディングするだけのエンジニアや、陳腐化した技術で「車輪の再発明」しかやらないエンジニアは淘汰される可能性があります。
その点「ビジネスがわかるエンジニア」「開発がわかるWebディレクター」として新しい技術や手法を提案できれば、ツールに代替される心配はまずないでしょう。
開発ができるWebディレクターは需要が高い
ツールに代替される仕事がある一方で、新たに生まれる仕事もあります。
近年、Webディレクターはシステム開発に関する知識が求められています。特にバックエンドの知見が求められている証拠として「開発ディレクター」の求人が増えていることが挙げられます。
開発ディレクターとは、Webサイトやアプリケーションの開発現場でチームを統括・指揮するポジションです。開発ディレクターが求められる背景として、事業会社のWebサイト制作が、フロントエンド領域の知見だけでは務まらなくなっている現状があります。
事業収益面でインパクトの強いWebサイトを作るためには、サーバーやインフラなどのバックエンド領域に注力しなければなりません。こうした大量のデータと複雑な機構を扱うサイト制作では、バックエンド出身の開発系Webディレクターの知見がものをいうのです。
将来さまざまなキャリアプランを描ける
Webディレクターとしてディレクションやマネジメント、マーケティング領域を広く手がけることで、将来のキャリアの可能性が大きく広がるのもメリットのひとつです。
Webディレクターとしてクライアントやエンジニア、クリエイターとコミュニケーションを取る機会を重ねれば、テクニカル・ヒューマン両面の多様なスキルが身につきます。現場で培ったノウハウをベースに、プロジェクトマネージャーやWebプロデューサー、マーケターをめざすこともできるでしょう。着実に経験を積むことで、より上流工程へのシフトや、ビジネスモデルの構築に関わるポジションが見えてきます。
バックエンドエンジニアからWebディレクターになるためにやるべきこと
バックエンドエンジニアは、これからのWebディレクターに必須のテクニカルスキルを既に身につけています。一方で、サイト全般の設計・政策に携わるWebディレクターになるためには、新たに習得すべきスキルもあります。
最後に、バックエンドエンジニアからWebディレクターになるためにやるべきことを解説します。
プロジェクトマネジメントスキルを習得する
バックエンドエンジニアがWebディレクターになるためには、プロジェクトマネジメントスキルの習得が必要です。
Webディレクターの仕事は開発に留まらず、広範にわたります。まず、クライアントの要望や潜在ニーズ、課題を、デザインと機能・コンテンツで解決するために、制作メンバーをディレクションします。さらに進捗確認と調整、進行方法の再検討を行う傍ら、クライアントとの納期や予算の交渉を行うことも重要な職務です。
人材や予算、品質、スケジュールの管理も、Webディレクターが行います。エンジニアとして管理的な職務に就いている方以外は、ディレクション・マネジメントの両スキルを習得する必要があるでしょう。
可能であれば、一度プロジェクトマネジメントを体系的に学ぶことをおすすめします。「プロジェクトマネージャー試験」「P2M」「PMP」などの資格を取得すれば、その後のキャリア形成でも武器になります。
コミュニケーションスキルを身につける
Webディレクターとして円滑にプロジェクトを進行するためには、コミュニケーションスキルが重要な鍵となります。
クライアントからの要望をヒアリングする際には、顕在的なニーズ・課題だけでなく、潜在的なニーズまで引き出すスキルが求められます。また、チームメンバーをまとめ、進捗管理をする際には、単に業務についてやり取りするだけでなく、メンバーのモチベーションのコントロールも重要な役割となります。
大規模なプロジェクトを動かせるWebディレクターは、メンバーが報告・質問しやすい雰囲気を醸成するなど、高度なコミュニケーションスキルを持っています。自分が属するチームが良い雰囲気になるよう、日頃から「相手の立場に立つ」「傾聴する」「一人ひとりに伝わるよう話し方を工夫する」といったことに留意して仕事に臨んでみてください。
マーケティングを学ぶ
技術に特化したエンジニアからWebディレクターになる際には、マーケティングスキルも求められます。
「企業の認知度を上げる」「購入や問い合わせなどのコンバージョンを獲得する」など、クライアントの課題を解決するのがWebサイト制作・運用やマーケティングの目的です。アクセスやコンバージョンの増加など、サイトパワーの向上を総合的に実現させるためには、マーケティングスキルが必要となります。
近年は、制作会社がサイトの運用まで一貫して請け負うケースも増えており、設計段階から運用を視野に入れて制作します。
Webディレクターはまず、ペルソナ設計・ターゲット設計をしてサイトの全体設計やSEOの戦略を立案します。それぞれのページやプログラムの要件を決め、サイトを制作すると、リリース後にはアクセス解析を行い、課題を明確化します。従来のWebディレクターは、サイトを公開するまでを仕事とするのが基本だったのですが、最近はリリース後の改善提案や二次制作の提案まで行うのが主流になりつつあるようです。
綜合的にサイト運用に携わる際には、リスティング広告やSNSマーケティングなど、広告関連の知見も養えるとさらに信頼を得られます。
企画立案・提案スキルを身につける
Webサイトのコンセプト設計とデザイン企画も、Webディレクターの仕事です。
ヒアリングで聴き出したクライアントの要望と、現状の調査から導き出したターゲットユーザーのニーズに応えるために、最適なWebサイトを企画して提案書にまとめます。ここで魅力的な提案ができなければ、案件を受注できません。
要望に対応した設計がなされていても、クライアントの納得を得られなければ話は進みません。Webの知識がないクライアントにも理解できるよう、わかりやすく納得できる提案・説明ができるスキルが必要です。
満足度の高い企画を作り上げるためには、クライアントの本音を聴き出すヒアリングスキルが重要になります。バックエンドエンジニアとして働いているうちに、相手のニーズを引き出すコミュニケーションスキルを磨いておきましょう。Webサイトの最新の動向をキャッチアップするなど、好奇心のアンテナを張ることも大切です。
デザイン・UI/UXの知見とスキルを習得する
制作において的確かつスムーズな指示を出すためには、デザインやUI/UXの知識とスキルも必要です。
例えば最近のWebサイトでは、ユーザーのアクションにリアルタイムで応じるアニメーションや画面遷移、インタラクティブコンテンツの実装が増えています。こうしたコンテンツでユーザー満足度を高めなければ、サイトを離脱され競合に勝てない時代になってきています。
Webアクセシビリティの義務化といったトレンドにも敏感になり、情報収集を欠かさないよう心がけましょう。「UX MILK」「Dribbble」「UI Movement」といった専門職が集うサイトで、トレンドをチェックすることをおすすめします。
バックエンドエンジニアから市場価値の高いWebディレクターへ
バックエンドエンジニア出身のWebディレクターには、希少性と高い市場価値があります。
バックエンドエンジニアからWebディレクターへのステップアップに、アシスタントとしてWebディレクターの実務を学ぶ方法がおすすめです。Webディレクターとして経験を積んだのちに、他の業態も経験すれば、市場価値をさらに高められるでしょう。
サイトの機能実装からディレクション、PM、企画まで、幅広いスキルを身につければ、どこでも通用するWebディレクターをめざせます。リバミーは、フロントエンドやバックエンドのエンジニアがWebディレクターとしてキャリアアップするのを支援しており、受託しているさまざまなプロジェクトにアサインしています。
それぞれがめざすキャリアを汲み取り、必要なスキルが身に付くプロジェクトを経験できる場であるとともに、Webディレクターとして必要な学習もサポートしています。興味がある方は、リバミーの採用サイトをご覧いただき、気軽にお問い合わせください。